存在感高まる川崎の住宅市場

 投資調査第2部 主任研究員 室 剛朗/投資調査第1部 客員研究員   大橋 卓哉

<要約・概要>

 これまで神奈川県の住宅市場においては、中心都市である横浜市が圧倒的な存在感を持ってきた。横浜市は日本で第2位の人口約365万人を誇る巨大都市であり、神奈川県の他の政令指定都市である川崎市(約140万人)、相模原市(約70万人)を人口面では圧倒している。横浜市はバブル経済期、90年代半ばに東京への人口集中を回避させるべくニュータウンが建設され、多くの住宅が供給されてきた。住宅供給に伴い、東京や横浜で勤務する就業者の居住エリアとして人気を集めてきたが、2000年半ば以降、その相対的なポジションが低下している。その主因は、川崎市の台頭である。川崎市は近年、JR川崎駅西口や武蔵小杉駅前の再開発で、子育て世帯を中心に人気が高く、川崎市の住宅市場の存在感が高まっている。本稿では、川崎市の存在感の高まりを定量的に確認し、近年の住宅需要・供給の志向の変化を分析することで、今後の川崎市の住宅市場におけるポテンシャルを推察した。

川崎市と横浜市における新築分譲マンション平均価格の推移

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投資調査部 客員研究員 
大橋 卓哉

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